第1回 暫定規制値とは(飲料水編)

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6月7日、朝日新聞の朝刊にこのような記事が掲載されてました。

 

「7人の母乳に放射性セシウム 福島 影響なし」

母乳から放射性物質が検出されるということは、母親が被爆しているだけでなく、お子さんも被爆してしまうので、かなり慎重に検討しないといけません。でも、あっさりと「健康に影響なし」と結論づけてます。

信じていいの? 本当??

その根拠は、「牛乳・乳製品の基準200ベクレルに比べて、かなり低い」とされています。でも、なんか変じゃない? 牛乳・乳製品の基準は、あくまでも大人が食品の一つとして口にする場合の規制値。赤ちゃんにとって、母乳はすべての栄養源であると同時に飲料水でもあります。ということで、飲料水の基準を調べてみました。

大人の暫定規制値(セシウム137) 200 Bq/L
乳児の暫定基準値         100 Bq/L

こちらは大人と子どもの規制値が違い、より厳しくなってます。それでも、まだ変です。乳児の基準が大人の半分って、かなり緩くない?

よく知られているように、大人より子どもの方が、放射線に対しての感受性が高いです。しかも、一度体内に取り入れた物質は余命が長い分、長期にわたり体の中にとどまります。だから、半分ってのは全くナンセンス。専門家によって評価はまちまちですが、子どもに対しての規制は、少なくとも3倍、できれば10倍以上だと言われています。

そもそも「暫定」って何? 実はこれ、3月17日にあわてて作られた物です。それまで国内の食品に関しての規制値はなく、飲料水については、世界保健機関(WHO)基準を守ってました。

飲料水の規制値(セシウム137)  10 Bq/L

えっ! いつの間にか20倍に引き上げられていました。この10Bq/LっていうWHO基準は、国際的には「高すぎる!」って批判を浴びていた値です。そこで、よその国はどうかというと...

ウクライナ(セシウム137) 2 Bq/L
ドイツガス水道協会     0.5 Bq/L
アメリカの法令基準     0.111 Bq/L

う〜ん、アメリカ基準の1,800倍以上ですか... 新聞記事の母乳だって100倍以上。といっても、確実に病気になるというわけではないです。低線量被爆には致死量のような「しきい値」は存在しません。そのかわり、健康被害が発生する確率が増えるのです。だから、上記新聞記事のように「健康に影響なし」なんてことは簡単にいうことはできません。

厚生労働省の言っていることは、素人にもばれるぐらいの話だし... それを何も考えずにそのまま掲載する朝日新聞も酷いね。何を信じればいいのでしょうか?